第11回 「理科は実験しないと意味がない」

(12月13日放送)

理科を勉強する場合は、まず自然や物事に対して「不思議だな」、「なんでだろう」と、疑問に思い、好奇心を持つことが大切です。

私が教師をしていた頃、理科の授業では、プリントによる学習よりも実験を重要視していました。小学校6年生の授業の中に「体のつくり」を学ぶ時間があり、牛の心臓を解剖したことがあります。普通であれば人体模型を使って勉強するのですが、それではありきたりで面白くないと考え、その時住んでいた地域の特産品である但馬牛の心臓で解剖を行いました。バレーボールとバスケットボールの中間サイズで、分厚い筋肉の塊でもある牛の心臓に、子どもたちは初めこそ「気持ち悪い」と言っていましたが、次第に興味を持つようになりました。そして、圧倒的な存在感に感動し、大きな牛の体に血を送る心臓は、すごい力を持った臓器であることを学ぶことができました

今、多くの大学院では優秀な大学院生を欲しています。しかし、自ら率先して物事を研究していけるような、優秀な人材が少ないのが現状です。原因をたどると、幼い頃から行われてきた教育の中で、問題には必ず答えがあり、それを覚えることが勉強である、という習性が染みついているからだと考えられます。

ただ単に知識を詰め込むのではなく、例えば、学校の帰り道で川に向かって石を投げたり、夕陽を見て感動したりすることが、理科を学ぶ上で大切になります。すなわち「子どもたちにとって大事なことは何か」ということをしっかり見据えた教育が必要だと言えるでしょう。

プロフィール

陰山英男(かげやま ひでお)
1958年、兵庫県出身。89年に兵庫県朝来郡朝来町立山口小学校に赴任。「読み・書き・計算」の徹底した反復学習、「早寝早起き朝ご飯」を二本柱に、基礎学力の向上を図る「陰山メソッド」を確立。同校出身者の国公立大学進学率が類を見ない高さだったため、教育実践がメディアで紹介されるようになる。2003年、全国公募により、広島県尾道市立土堂小学校校長に就任。06年4月より立命館小学校副校長・立命館大学教育開発支援センター教授を、08年4月からは立命館小学校副校長・教育開発推進機構教授を務める。小学館の通信添削学習『ドラゼミ』総監修者。著作・共著多数。文部科学省・中央教育審議会教育課程部会委員/安倍前首相の諮問機関「教育再生会議」有識者委員/大阪府教育委員会教育委員

Official Web Site : http://kageyamahideo.com/

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